職業生活において、女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、
平成28年4月1日、女性活躍推進法が施行された。
女性活躍推進法では、
・自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析を行い、女性が活躍できる職場づくりのための取り組みや数値目標などを含む行動計画を策定すること
・自社の女性の活躍に関する状況の情報を公表すること
などが事業主に義務付けられた。
※常時雇用する労働者300人以下の事業主は努力義務
女性の活躍推進に関する状況などが優良な事業主は、
都道府県労働局への申請により、「えるぼし」認定を取得することができるが、
平成28年6月30日現在、全国で105社が認定されている。
※認定企業の一覧は、厚生労働省ホームページで確認できます。
「えるぼし」認定基準には、
①男女別の採用における競争倍率が同程度であること
②平均勤続年数が男女間で同程度であること、
または
10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された新規学卒採用者の継続雇用割合が男女間で同程度であること
③法定時間外労働および法定休日労働時間の合計時間数の平均が、月ごとに全て45時間未満であること
④管理職に占める女性割合が産業ごとの平均値以上であること、
または直近3事業年度における課長級より一つ下位の職階の労働者に占める課長級に昇進した労働者の割合が男女間で同程度であること
⑤女性の非正社員から正社員への転換実績があるなど、多様なキャリアコースが整備されていること
といった合計5個の評価項目があり、
満たしている項目の数に応じて一つ星から三つ星まで、3段階の「えるぼし」が取得できます。
「えるぼし」認定を取得するには、
①行動計画の策定
②策定した旨の都道府県労働局への届け出
③自社の女性の活躍に関する状況の情報を厚生労働省のウェブサイト「女性の活躍推進企業データベース」へ公表した上で、
都道府県労働局に認定の申請手続きを行うことが必要です。
認定を取得することのメリットとして、
・「えるぼし」マークを自社商品や広告、求人情報に掲載することで女性が活躍している企業であることをPRできる
・社員の活躍を推進する企業としての認知が広がることで、女性のみならず男性も含めて、優秀な学生や人材の確保につながる
ことがあげられる。
さらに、国の各府省において行う総合評価落札方式または企業競争方式による公共調達において、「えるぼし」認定企業は加点評価されることも明らかになっている。
このほか、
日本政策金融公庫の「地域活性化・雇用推進資金(企業活力強化貸し付け)」を利用する際、基準利率からマイナス0.65%での低利融資を受けることができる。
5項目のすべてを満たすことは、相当ハードルが高いですが、
①、②、⑤あたりなら達成しやすいかもしれません。
いずれにしても、人材採用が難しくなっている昨今、女性が活躍できる環境を整備しない会社は生き残れないといっても過言ではないでしょう。
認定を受ける受けないにかかわらず、この機会に社内制度を見直してもいいのではないでしょうか。
(了)