一般社団法人の相続節税、抜け道封じ

2017年11月30日の日経新聞より。

 

政府・与党は相続税の過度な節税防止に乗り出す。一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広がっており、2018年度税制改正で具体的な対策を講じる。相続税は15年から始まった増税で課税対象となる人が増えており、節税策を封じて課税の公平性を確保する。

 

「一般社団法人の問題は放置できない」。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は社団法人を使った節税を問題視する。

 

社団法人は08年から営利目的でも設立できるようになったが、株式会社と違って相続税はかからない制度となっている。企業の株式に当たる持ち分が存在しないからだ。役員の人数や親族の割合に関する定めもなく、比較的容易に設立できる面がある。

 

この仕組みを悪用して節税に使うケースが増えている。まず親が代表者となって法人を設立し、資産を移す。その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を継承すると、資産には相続税がかからない。この仕組みを使えば、子供ばかりか、孫やその先の代まで、延々と非課税で資産を相続できる。

 

しかも、法人設立にかかる費用は登記の6万円しかない。国も設立要件について「公序良俗に反しない限り全ての事業が対象」(法務省)としている。16年は6075件が設立されており、この5年で1.5倍という急増ぶりだ。登記だけで簡単に設立できる点が節税策として活用される一因になっている。

 

政府・与党は、

親族が代表者を継いだ場合、非課税の対象と見なさず、課税対象とする方向で検討を進める。

 

一般社団法人を活用して相続税の節税スキームに一定の歯止めがかかりそうですね。

ただし、一般社団法人というのは、元々属人的な法人組織ですし、株式会社同様親族が代表を継ぐというのは普通のケースです。

一般社団法人自体は、一般社団法設立が認められているわけですし、そもそも「一般社団法人を使った過度な節税を防止」ということが今回の改正の趣旨なわけですが、どの程度を「悪用」とみなすのか、その定義付けが気になるところですね。

 

いわゆる、「租税回避」の定義、です。

 

この解釈については、現行の相続税法においても鑑みることができます。

 

【一般社団法人に財産を移したときの課税関係がどうなるのか】 相続税法66条第4項 「持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において、その贈与又は遺贈によりその贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、その社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課税する。」

 

この「不当」の定義ですね。今回はここにもメスが入るのでしょうか。

2018年度の税制改正は、事業承継プランを考える上で非常に重要ですね。

 

 

 

(了)

 

 

 

 

 


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