日経新聞 2017年9月4日(月)より
今年1月開始の『セルフメディケーション税制』についてです。
以下、記事より。
市販薬を購入すると税控除できる「セルフメディケーション(自主服薬)税制」が、今年の1月に始まったが、認知度は低い。
対象品目が市販薬の一部にとどまっていることも一因であるが、どうやって関心を高めるかが課題である。
セルフメディケーション税制は今までの医療費控除の特例である。
効き目の高い市販薬「スイッチOTC医薬品」の購入額が、
年間1万2千円を超えると、税控除の対象となる。
10万円超が対象の医療費控除よりハードルが低い。
ただ制度開始から8か月たった薬局で声をかけても知らない人は多い。
医療費への関心が高い50代の女性会社員は「最初は良いと思ったが、対象品が限られてる。」と残念がる。
理由の一つは、
現在、税制の対象となる医薬品は、
解熱鎮痛薬や風邪薬などの主力ブランドは含まれるものの、
1万品目以上とされる市販薬のうち約1600品目のみである。
これはなぜなのかというと、
厚生労働省の検討会議がこれまで非公開で
「科学的根拠ではなく不利益になる団体の反発で進まなかったことも多かった」ためだ。医療用の成分を含む医薬品の市販化はこれまでわずか83成分である。
こうした中少しでも対象品目を増やそうと、16年からスイッチOTC医薬品の希望成分の公募が始まっていて、これまで消費者から寄せられた22成分が検討対象となっている。
◎医療費控除と使い分け→確定申告前に比較
セルフメディケーション税制と医療費控除はどうやって使い分けるのがいいのだろうか。
例えば東京都在住の20代の女性会社員は平日の仕事が忙しく、風邪や生理痛の薬はほとんどドラッグストアで買う。新税制の対象となる薬の購入額が年間で5万円だと、3万8千円が所得控除対象となり、課税所得額が400万円ならば確定申告で1万1400円戻ってくる計算になる。
このほか通院や入院の費用も合わせた医療費合計が15万円ならば、10万円を超えた5万円が医療費控除の対象。還付金は1万5千円となり、医療費控除のほうが得だ。
医療費合計が同じ15万円でも新税制対象の医薬品代が7万円ならば、所得控除の対象は5万8千円で医療費控除の5万円を上回る。還付金は1万7400円となるため新税制を適用したほうがいい。
新税制の適用は、会社の定期健康診断などを受けていることが条件で、所得控除の上限額は8万8千円など制限もある。
確定申告前に比較して検討することが必要である。
(了)