建設業の社会保険加入を急げ

日経新聞平成29年3月28日(火)社説より

 

政府は平成29年4月から建設工事の元請け会社に対し、社会保険に加入していない作業員は現場で働かせないルールを徹底させる。

 

建設工事で働く作業員は、中小企業の従業員や単独で現場を渡り歩く「1人親方」が多い。

結果、所得が不安定になり、社会保険に入らない作業員が増えた。

建設不況を受け、ゼネコンや一次下請けが技能者を社員として雇わなくなったことが理由である。

 

日本型枠工事協会の調査では、平成28年8月時点で雇用保険や厚生年金に加入していない型枠大工は全国平均で6割弱に及んだ。

工事の後に型枠を外す型枠解体工の未加入率は7割強に達している。

 

こうした状況を改善するため、国土交通省は下請け作業員の保険加入を徹底させる。

未加入業者は国交省発注の工事から排除する。建設業の許可も出さない。

 

 

建設業だけでなく、飲食業、製造業、サービス業など様々な業種で人手不足は慢性化しています。

社会保険の加入というのは、法律で定められた義務であり、

要件を満たす場合は、当然社会保険に加入しなければなりません。

 

最近では社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務がない個人事業の会社でも、あえて社会保険の加入事業者になることにより、良い人材確保をするところも目立つようになってきました。

 

社会保険制度というのは、相互扶助的な意味合いがあるため、負担額と給付額のバランスを推し量るのは難しいところですが、

私が常々思うのは、どうして厚生年金保険の上限額と健康保険の上限額に大きな差があるのかというところ。

 

厚生年金保険料は、個人の税金計算上、全額社会保険料控除にもなりますし、また年金財源の補てんにもつながります。

 

給与がある程度ある人は、その収入でないと維持できないようなライフスタイルになってしまっていますので、将来の年金額がより増える仕組みになっていた方がいいはずです。

 

今の制度では、役員報酬が月額605千円以上であれば、将来の老齢厚生年金は頭打ちになっています。

一方健康保険は、月額1355千円以上が頭打ちなので、その額に達するまでは保険料は給与に比例して増えていきます。

 

全国の社長の役員報酬の平均額は、3,476万円というデータがあります(2015年役員報酬の実態に関する調査、産労総合研究所)。

これを月額ベースに直すと、290万円ですから、近似値として

いっそ、上限額を月額300万円までにするというのはどうでしょうね。

 

いきなり上げすぎると問題があるなら、段階的に上げるとか。

最初は200万円、5年後に300万円みたいな感じで。

 

いずれにしても、高齢化社会で年金をどれくらいもらえるか、というのは老後の生活における希望という意味でこれから年金を払っていく若い世代には特に大きな問題です。

希望があれば若い人はむしろ進んで年金を払うでしょう。

 

(了)

 

 

 

 

 

 

 


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