週刊税務通信No.3429より。
11月も半ばに差し掛かり、いよいよ年末調整の時期となってきました。
年末調整の後は、個人の確定申告時期となりますが、
今回は、確定申告でよく出てくる医療費控除について。
特に「混合診療」を受けた場合の注意点についてです。
平成28年4月1日から、「患者申出療養制度」が開始しています。
この制度は簡単に言うと、
混合診療を受けた場合⇒保険診療も含めて医療費すべてが保険の対象外
となるところ、
平成28年4月1日以後は、患者の申請によって国から認可されたものであれば
⇒保険診療に該当する部分には保険が適用される
ため、結果として患者の負担は軽減される
というものです。
しかし、その診療の際に支払った医療費が、
所得税の医療費控除の適用対象となるかどうかについては注意が必要です。
具体的には以下のとおり。
<混合診療の医療費控除について>
混合診療で医者から診断を受け、未承認薬の服用を指導された場合、
①医者の診療費⇒医療費控除の適用対象となる
が、
②未承認薬の購入費用⇒税務上の医療費に該当しないので医療費控除の適用対象とはならない
未承認薬の購入費用が医療費控除の対象とならないのは、
医療費控除の対象となる医薬品として医薬品として医薬品医療機器等法に規定されている「日本薬局方に収められているもの」に該当しない(所令207、所基通73-5、医薬品医療機器等法2①)というのがその理由です。
ただし、
・サリドマイド
や
・丸山ワクチン
のように個別判断によって医療費控除の対象とされるものもあります。
また、これに関連する話として、
医師の指導により購入した「不妊治療のサプリメント」が医療費控除の対象になるかどうかについて争われた裁判等では、
医療費控除の対象にならないと判断されています(東京地裁27年5月12日判決)。
治療というのは、税負担の軽減を目的として行うものではありません。
医療費控除というのは、治療した結果として受けることのできる副産物であることは間違いありませんが、
自由診療の費用は一般的に高額であることが多いため、
医療控除の適用があるかどうかについては、受診する際に医師等に確認をした方が良いかもしれませんね。
(了)