日経新聞平成28年6月21日の記事より。国税当局から所得隠しや申告漏れを指摘された企業や個人が、処分を不服として裁判で争う件数が減っている。
国税庁は20日、2015年度に提訴された訴訟(控訴や上告含む)は231件だったと発表した。
前年度から6件減り、04年度(計552件)の半分以下だった。
手続きが明確になったことなどが背景にある。
記事によれば、減少の背景にあるのは税務調査のル-ルの明確化が原因であるとのこと。
確かに2013年から調査対象や期間をあらかじめ伝えたり、処分理由を文書で伝えたりすることが法律で義務化されています。
以前は理由をはっきり書面で示さないまま追徴金額だけ示し、納得できない納税者が訴訟を起こすことも多かったという。
記事では
・「改正後、税務調査が丁寧になった。1件の処理にかかる期間も長くなっている」
・「感情的な対立を基にした訴訟が減り、当局も法令解釈を巡る重要事案などに力を注げるようになった」
といった税理士、弁護士の評価もあった。
国税当局の態度の変化も指摘される。税務訴訟に詳しい弁護士は「大型税務訴訟の敗訴が続き、国税当局が慎重になっている」とみる。
2月には東京国税局から申告漏れを指摘された日本IBMの持ち株会社が訴えた訴訟で約1200億円の課税を取り消す判決が確定。
武富士(現在は更生会社TFK)創業者の親族への課税でも2011年に国が敗訴し、利子を含め約2千億円の巨額還付となり話題を呼んだ。
7月から税務署の年度が替わり、8月以降新年度の税務調査がスタートする。
注視していきたいところである。
(了)