平成28年11月7日 週刊税務通信 NO.3432
[マイナンバーの提供拒否、経過記録の保存で対応可能]について。
今年度も年末調整の時期が近づいてまいりました。
これから今年度の年末調整をはじめ来年の2月から3月にかけて提出する確定申告書など、各種申告書へのマイナンバー記載が本格的に始まります。
マイナンバー記載についての対応の備えは万全でしょうか。
今回はマイナンバーを集める際に、相手から提供を受けられなかったときの話。
特に、支払調書の作成等に当たって行う「会社外部」からのマイナンバー収集についてです。
まずは法的な義務について。
弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料等について、
同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるものは、
⇒支払調書の提出が義務付けられており、マイナンバーの記載も必要
となります。(所法225,所規84)
5万円を超えれば支払調書を提出するわけですから、収集するマイナンバーの数も多くなるかもしれません。
ところが、相手にマイナンバーの提供を断られたり連絡が取れなかったりすると、
それだけ収集する負担が増えてしまいます。
そこで実務上の対応としては、
マイナンバーの提供が受けられないときは、まず、
① 取引相手に法定調書へのマイナンバーの記載が義務であることを伝え、
それでも受けられない場合には、
② 提供を求めた経過等を記録、保存すればよい(国税庁・法定調書に関するFAQ)
となっています。
この場合の記録すべき経過等とは、
マイナンバー提供を求めた日にちや、文書等で求めた場合はその写しなど、
会社の事務負担にならない程度の情報を保存していれば良い、
とのこと。
保存する情報についても絶対に必要といった明確な規定はありません。
マイナンバー制度自体、本格的な運用前から事務負担が増加することが言われてきただけに、
マイナンバーの収集についてはある程度幅を持たせて柔軟に対応できるように配慮されているようです。
マイナンバーの収集についてはきちんと責任は果たしているということを、実際のアクションだけでなく記録上でも残して、マイナンバー収集への対応は万全にしておきたいものですね。
(了)