日本経済新聞 2016.7.23の記事より。
妊婦や出産を理由に職場で不当な扱いや嫌がらせをする「マタニティーハラスメント(マタハラ)」について、
厚生労働省は7月22日、企業が取るべき具体策などを盛り込んだ指針を決めた。
加害者は懲戒処分の対象となることを就業規則に明記するよう求める。
被害は後を絶たず、企業に厳格な対応を促す。
改正男女雇用機会均等法が先の通常国会で成立し、企業のマタハラ対策が義務化された。指針はその具体的な内容を定めた。
改正法施行に合わせ、来年1月から指針の運用を始める。
指針はマタハラを行った社員に対し、厳正に対処すると就業規則などの文書で規定するよう要求。
マタハラへの懲戒処分の規定を新たに定めるか、現行の懲戒規定の対象になると明確にすることを想定している。
社内でマタハラの相談があった場合、事実関係を調査し、被害者と加害者の意見が食い違うときには職場の同僚から話を聞く必要があるとした。調査への協力を理由に、同僚に対して不当な扱いをしないことを規定すべきだとしている。
被害を確認したときの対処法も明記。
加害者には謝罪を指示し、被害者の心のケアに取り組むよう求めた。
再発防止のため、改めて社内報などを通じてマタハラには厳正に対処することを周知し、研修も実施する必要があるとした。
被害が起きないよう、職場の環境整備の必要性にも言及。業務の偏りを改善し、日ごろから円滑にコミュニケーションできる職場づくりを目指すことを促した。
指針ではマタハラの典型例を記載。
①妊娠した女性社員に上司が解雇などを示唆
②社員が妊娠、出産に関する社内制度の利用を相談したところ上司が利用しないよう求めた
③制度を利用した社員に対し、業務に従事させないなど嫌がらせをした
などを挙げている。
厚労省によると、2015年度に全国の労働局に寄せられたマタハラの相談件数は4269件。前年度比19%増え、過去最多だった。
内訳は「妊娠・出産などを理由とする不利益な取り扱い」が2650件、「育児休業関係の不利益な取り扱い」が1619件だった。
指針がある無しにかかわらず、マタハラは許されることではありません。
マタハラが起こらないことが一番重要ですが、起こった場合の対処方法について、来年1月からは就業規則への記載が義務付けられます。
経営者の方は、これを機に就業規則等を見直すと同時に、マタハラについても理解を深める必要がありますね。
(了)