不動産投資による消費税還付スキームに規制がかかる

平成28年度税制改正大綱における消費税についての話です。

簡素な税制であったはずの消費税で、またまたややこしい論点が加わりました。

 

企業が高額な資産を取得した場合、消費税の税金計算上、一定の制限が加わるというものです。

イメージとしては、居住用アパートや居住用マンションを購入する際の消費税還付スキームについて、さらにメスが入ったというところでしょうか。

 

しれっと税制改正大綱に入っていましたが、不動産投資をされている方については、かなり重要な改正項目になるのではないでしょうかね。

 

ただし、この改正の前に、平成22年度の消費税の税制改正について少し触れておこうと思います。

というのは、今回の改正が平成22年度の消費税改正を受けて行われたものだからなんですね。

 

まず、アパートやマンションの家賃収入については、政策的に消費税が非課税とされており通常消費税を納める必要がありません。いわゆる免税扱いとなります。

 

免税により消費税を支払わないわけですから、

当然、支払い過ぎた消費税の還付を受けることもありません。

 

ところが建物など消費税が多額に発生する不動産を購入するときだけ消費税課税事業者となり、消費税の還付を受けるという手法が一時期はやりました。

 

有名なのが、マンションの敷地内に自動販売機を設置することで建物にかかる消費税の還付を受けるというスキームです。

具体的には、

①消費税課税事業者選択届出の手続きにより消費税の課税事業者となる

②不動産(建物など)を購入

③家賃収入を発生させない

③自動販売機を設置して課税売上を発生させる

という4つの要件を、同じ年に満たすことで消費税の還付をいとも簡単に受けれたんですね。

しかしあまりに、還付スキームが横行したため、平成22年度税制改正により消費税還付スキームにメスが入りました。

これが第一段階の封じ込め策ですね。

 

平成22年度税制改正の内容を簡単に言うと、

課税事業者となった後2年以内に不動産(調整対象固定資産)を購入・新築した場合には、その後3年間は免税事業者・簡易課税への変更ができない、というものでした。

 

なので、言い換えれば課税事業者となった後3年目であれば、この改正の適用は免れるという抜け道がありました。

 

具体的には、

消費税課税事業者選択届出の手続きにより消費税課税事業者となり、その後2年間は何もしないで3年後に不動産を購入するというスキームを使えば、消費税の還付を受けることができたんですね。

 

今回の改正は、そこにメスが入った形になります。

 

 

不動産投資で消費税の還付を受けるために、ほぼ休眠状態の会社を作り、消費税の課税事業者の選択をする、というのは、素人では思いつかないスキームですが、

もしこのスキームで節税を考えているのであれば、

 

・中古資産であれば、平成28年3月31日までの購入、

 

・新築であれば平成27年12月31日契約分まで

 

については、今回の税制改正が適用されないとされています。

 

ここは要注意ですね。

 

 

しかし、消費税という税目、私も税理士試験の選択科目で勉強したのですが、確か「簡素な税制」ということで習ったんですけどね~

 

もしかして今一番複雑になっている税目かもしれません。

 

(了)

 

 

 

 

 

 

 

 


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