日経新聞3月21日(月)「同一賃金 オランダの改革」の記事を読んでの所感を。
最近「同一労働同一賃金」という言葉を新聞や雑誌等でよく見かけます
パートタイム労働でも同じ仕事をしたら正社員と同じ賃金をもらうという考え方で、
安倍首相は「働き方で不利益が出ないようにしなければならない。同一労働同一賃金に踏み込みたい」として5月までに対策をまとめる考えとのことですが、
この制度の背景には、「雇用の流動化」を推し進めるというのがあります。
つまり、解雇規制が緩和されるかどうか、経営者サイドからすれば働きが悪い正社員を解雇できるような制度設計がされるようになる、ということです。
従来、正社員の賃金は属に「職能給」呼ばれる年功序列に基づく給与体系により決められてきました。これは初任給から少しずつ昇給し、ベテランになった頃に若いころの会社の貢献分を貰える給与体系をいい、
終身雇用を前提とし、単年度ごとの生産性などは不明瞭ですが、最終的な総雇用期間では帳尻が合うような体系になっています。
だから一見ベテラン社員がたくさん給与をもらっていていいな~というように思われるケースでも、実はそのベテラン社員は若いころ低すぎた賃金をようやく取り戻しているに過ぎない、ということもあるんですよね。
一方、パートタイマーなどの非正規社員は、担当する仕事そのもので評価がされる「職務給」に基づき給与体系が組まれています。
コンビニのレジなんかがいい例ですね。
18歳の大学生と50歳ぐらいの中高年が同じ時給で仕事をしているケースは多々あります。
この場合、流動性が高い(すぐやめる)から、仕事した分はすぐに払いますよ、という体系をいいます。
そして、この2つの体系を併存させた状態で、「同じ仕事にたいして同じ賃金を払え」というのはきわめて難しく、
「同一労働同一賃金」を行うということは、要するに「職務給」にすべての給与体系が移行することを意味します。
「職務給」は終身雇用を前提としていませんから、当然、転職する人は増えるでしょうね。
そして、全社員に給与に見合った成果を非常に求められるようになります。
私は個人的にこの制度には賛成です。
だって給与体系がわかりやすくなりますから。
そして、働く側にとっても、高年収が欲しいという人は頑張ればそれだけもらえるし、ワークライフバランスを重視する場合は、給与は低くなるかもしれませんが、自分のライフスタイルを実現できる働き方を選択することができます。
この記事によると、オランダでは、「同一賃金」改革を行った年から3年間、平均賃金が4パーセント下がったそうです。
パートの給与は上がったけど、正社員は下がったとのことで、
日本がそうなるか、またそうならないようにするためには、正社員ひとりひとりが、
より生産性を高めるようにできるよう不断の努力が求められるでしょうね。
(了)