日本経済新聞 2016.7.12.の記事より。
政府は7月11日、年金の受給資格を得るのに必要な保険料の納付期間を、
来年度から短縮する意向を示した。
現在の25年から10年に縮める。
融資などを含め事業規模10兆円を超える大型対策で自らの経済政策「アベノミクス」を進める。
年金は20歳以上から60歳未満の間、すべての人が保険料の納付を義務付けられている。納付済み期間に免除期間などを合計した期間が25年以上に達すると、年金を受け取れる。
非正規労働者の増加などを背景に、納付期間が25年に達しない人が増えている。
受給資格の10年間への短縮で、約42万人いる無年金者のうち約17万人が新たに年金を受給できるようになる見通しだ。
受給期間短縮の話ですが、もともと日本は、諸外国に比べて年金を受け取るまでの期間が長く、問題が指摘されていました。
ただ、納付期間を25年から10年に短縮する話は、以前から出ていたのですが
平成29年4月から消費税を10% に引き上げることによる増収分を財源にして、受給資格期間が25年から10年へ短縮されることになっていたので、
消費税の増税時期は、2019年(平成31年10月)に延期とされています。
財源はどうするんでしょうかね。
参議員選挙前ということで、増税先送りということでしたが、果たしてこれでよかったのかどうか。
もっとも、現行の消費税制度は完全に逆進性なので、単純に税率を上げただけでは、低所得者の税負担割合が大きくなりすぎます。かといって軽減税率も色々問題があります。
個人的に最も手を付けないといけないのは金融税制ではないかと思っています。
現行の所得税は、金融所得と労働所得の税率にあまりにも差がありすぎます。
金融税制については、所得税ではなく金融資産そのものに課税するという考え方もあります。
1,700兆円(日経新聞2015年7月20日記事より)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO89514130Q5A720C1PE8000/
とまで言われる個人の金融資産について、相続税ではなく、年次累進課税を設ける。
税率は低くても良いのですが、この税制を設けることで、金融資産1,700兆円に対し、0.1%の税率でも税収は1.7兆円も確保できます。
財産権の問題や、未実現の付加価値に課税してはいけないという考え方もありますが、増えている部分だけでも課税すればいいと思われます。
消費税は、逆進性が強いので、先に現状の金融税制のゆがみを是正し、その後の方がいいのではないでしょうか。
以上、年金改正の報道を受けて。
(了)