日経新聞平成28年4月20日(水)M&Iより。
空き家をめぐる税制が大きく変わりつつある。
平成28年4月~相続した空き家を売って手にした利益について、いくつかの条件を満たすと3,000万円の特別控除が認められるようになった。
最大で約600万円もの節税になるだけに、売却をためらっていた相続人の気持ちを左右しそうだ。
老親が暮らす実家などをいずれ相続する可能性があるなら、空き家の税制について頭に入れておきたい。
相続の税制改正という点では、今年一番の目玉改正となる。
相続した空き家を売ると、譲渡所得(売却益)にかかる税金が重くなりやすい。
1970年代ごろまでに建てた家であれば、もともとの土地の取得費が非常に安いからである。
あるいは、相続した土地について、取得費がわからない場合については、売却価額の5%が税務上の取得費になり、仲介手数料などの費用を差し引いても、売却価格の9割ほどが譲渡所得とみなされる。
今年4月から、相続した空き家で一定の条件を満たせば、この譲渡所得から3,000万円まで特別控除してもらえるようになった。
不動産の譲渡所得は税率が、20.315%なので最大で約600万円の節税になる。
仮に空き家をリフォームして賃貸した場合、収支を600万円のプラスにするには相当の年月がかかるということで、賃貸より売却するケースも今後は増加するだろう。
<相続した空き家の売却で3,000万円の特別控除を受ける条件>
1.1981年5月までに建てられた一戸建て
2.亡くなった人が一人暮らしをしていた自宅
3.相続発生以降、住んだり、貸したり、事業をしていない
4.相続発生の3年後の年末までに売る
5.建物を解体するか、新耐震基準を満たすよう改修して売る
6.売却価格が1億円以下
税制の動きを踏まえつつ、相続したまま放置してきた空き家や、いずれ相続で空き家になりそうな実家をどうするか腹案を練っておきたいところである。
(了)