日本経済新聞 2016.9.7より。
いよいよ来月(平成28年10月)より、社会保険の加入対象が広がりますが
※厚労省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/
それに対して、企業向けの助成金が拡充される話です。
具体的には、従業員の社会保険加入を進めた場合に
賃上げを条件に1人あたり最大16万円を企業に助成する。
負担が増える企業に配慮するとともに、賃上げを同時に実現し非正規など労働者の負担感も和らげる。社会保険の適用拡大で働く時間を減らす労働者が増えないようにし、加入を促す狙いとのこと。
そもそも社会保険の拡充の話ですが、ポイントは以下の通りです。
<平成28年10月以降、追加される社会保険の適用対象者>
「適用拡大となる対象事業所」において、以下のすべてに該当する従業員
◇1週間の所定労働時間が20時間以上の者
◇月額賃金が88,000円以上の者
◇1年以上の雇用見込みがある者
◇学生ではない者
そして、この「適用拡大となる対象事業所」というのは、「被保険者数が501人以上の事業所」であり、中小企業は対象となっていません。
社会保険は基本的に週の労働時間が30時間以上の従業員が加入対象ですが、
平成28年10月から、週20時間まで要件が緩和されます。
これに伴い労使双方で上限より労働時間を抑える動きが広がるのを防ぐため、
労働時間を延ばした企業に対し、助成金の拡充が行われます。
具体的には、
現在は5時間以上の延長で社会保険の適用対象となった場合、企業に助成金を20万円配っていますが、
これに加え、延長時間が短い場合でも国の助成金を受け取れるようにする。
支給要件は、
・労働時間の延長時間が1時間以上2時間未満の場合
⇒対象者1人につき4万円を企業に助成
・労働時間の延長時間が2時間以上3時間未満
⇒対象者1人につき8万円
・労働時間の延長時間が3時間以上4時間未満
⇒対象者1人につき12万円
・労働時間の延長時間が4時間以上5時間未満
⇒対象者1人につき16万円
ただし、これらの助成金については、2%の賃上げを条件とする。
企業の負担を減らすだけでなく、賃上げを促し、労働者にメリットが出るようにしているとのことですが、
どこまで影響があるかは疑問です。
特に、この助成金の適用を受けない企業も多いため、
(今回の社会保険の拡充の適用は、「被保険者数が501人以上の事業所」であり、中小企業は対象となっていません)
ただ、厚労省の発表によれば、この社会保険の拡充については、
「平成31年9月30日までに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる」とされています。
したがいまして、平成31年10月以降、中小企業も適用拡大の対象となる可能性があります。
社会保険料は財源が非常に厳しい状況で、将来的に拡充がされる方向性は間違いないと私は思っています。
助成金云々はともかく、
社会保険の拡充の傾向と、社会保険の加入要件、この二点については、中小企業の経営者であっても知っておく必要があるでしょうね。
(了)