日本経済新聞 2016.8.30の記事より。
自民党の宮沢洋一税調会長は29日、日本経済新聞のインタビューで、
2017年度税制改正で専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の見直しを検討すると表明した。
同控除を廃止し、共働き夫婦にも適用する新しい控除を2018年1月にも作る案が有力だ。
伝統的な家族観や社会構造の変化にあわせ、女性の社会進出を阻む壁をなくしつつ、結婚を税制面で後押しする狙いだが、与党内には慎重論もある。
近年何かと税制改正の議題に上がっていた配偶者控除について、いよいよ改正が入りそうです。
もし改正が決まれば、いわゆる「103万円の壁」の意味はなくなることになります。
夫の扶養の範囲内で働いていたパート主婦も実質増税となれば働き方を色々考え直す必要があります。
配偶者控除の代わりに夫婦控除という所得控除が導入されるようですが、
配偶者控除の範囲で働いてきたパートの働き方に変化が生じるのは間違いないですね。
ただ、
企業が人件費として支給できる総額には限界があり、企業の生産性が高まらない限り、
そもそもその原資(売上高)が増えない限り、いくら働き方を変えたいと従業員が思っても、変えることはできません。
給与を増やすということは当然仕事量も増えますが、同一労働同一賃金とのからみもあり、
パートさんと同じような仕事をしていた正社員は逆に減給になる可能性もありますね。
配偶者控除の改正は、税務だけの話ではなく、労働法等の改正や賃金規程の改定など労務にも影響を及ぼす大きな改正です。
もっといえば、企業の事業計画にも影響を及ぼします。
経営者には、ますます税務労務など全体的な経営判断が求められることになります。
(了)